30代でPMSがひどくなることはある?年齢による症状の変化について

この記事の監修者

前田 裕斗

産婦人科専門医

経歴

2013年3月 東京大学医学部医学科卒業
2015年3月 川崎市立川崎病院にて初期臨床研修修了
2015年4月 神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科専攻医
2018年4月 国立成育医療研究センター産科フェロー
2018年10月 日本産科婦人科学会産婦人科専門医取得
2021年4月 東京医科歯科大学国際健康推進医学分野博士課程在学

元々PMSの気になる症状があったものの、30代になってから症状がひどくなった気がすると悩んでいる女性は多いです。それは気のせいではなく、実際にPMSの症状が重くなっている可能性があります。 今回はPMSが30代でひどくなる原因や年齢による症状の変化、PMSの改善方法を解説するので、PMSの症状に悩んでいる30代の方は参考にしてみてください。

この記事でわかること

  • PMSとは何か
  • PMSはなぜ30代でひどくなるのか
  • PMSの年齢による症状の変化
  • PMSの改善方法

PMS(月経前症候群)とは

PMS(Premenstrual Syndrome)は日本語で月経前症候群といい、月経が始まる3~10日前に現れる身体的・精神的な症状のことをさします。PMSの症状には個人差があり、その数は200種類以上あると言われています。PMSの主な症状はこちらです。
  • 頭痛
  • 腰痛
  • 吐き気
  • めまい
  • 倦怠感
  • 下腹部の痛み・張り
  • イライラ
  • 抑うつ
  • 情緒不安定 など

PMSの原因は明確になっていませんが、女性ホルモンの変動が原因のひとつと考えられています。女性ホルモンが急激に減少することで脳内のホルモンや神経伝達物質に異常が起こり、様々な症状を発症します。

30代でPMSがひどくなることはある?

PMSの症状がもっとも重く出やすいのは、30代と言われています。20代は身体的な症状が重く出る傾向がありますが、30代になると身体的な症状に加えて精神的な症状も重く出るようになるため、「30代になってPMSがひどくなった」と感じる人が多いです。 30代は女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量がピークを迎え身体の性成熟度も高くなり、月経に関する不調が出やすい時期です。

また、30代になると出産を経験する女性が増えることも関係しています。PMSと出産の関係については、この後詳しく解説しましょう。 さらに30代になると仕事や私生活が忙しくなりストレスが貯まりやすいことも、30代でPMSがひどくなる原因のひとつと考えられています。

年齢による症状の変化について

月経は一般的に12~13歳頃に始まり、50歳前後で閉経を迎えます。月経が始まった当初は女性ホルモンが安定しないため月経が不順になりやすいですが、18歳になると女性ホルモンが安定し「性成熟期」と呼ばれる時期に入ります。 性成熟期とは妊娠・出産に適した時期のことであり、それと同時にPMSが始まり様々な症状に悩む女性が増えてくるタイミングです。PMSの症状は年齢を重ねるごとに重くなり、20代後半~30代でPMSの症状のピークを迎えます。 先程も少し触れましたが、PMSの症状は20代は身体的な症状が重く、30代になると身体的な症状に加えて精神的な症状も重く出る傾向があります。人によっては40代になってからもPMSの症状がひどく、そのまま更年期に移行していくケースも少なくありません。

出産経験の有無によっても症状は変わる?

出産を経験することでPMSの症状にも変化が現れます。それは妊娠から産後にかけて女性ホルモンの分泌量が大きく変動することが原因です。 妊娠してから出産まで徐々に女性ホルモンの分泌量は増え、出産を終えると一気に分泌量が減少します。

その後、徐々にホルモンバランスが元に戻り月経も再開しますが、月経の再開や排卵の時期は個人差がありホルモンバランスも不安定です。ホルモンバランスが不安定な状態だとPMSの症状が重く出るため、産後にPMSがひどくなったと感じる女性はたくさんいます。

また、産後は育児で心の余裕がないことなどが原因となりイライラや怒りっぽくなるなど精神的な症状が出やすいです。そのため出産前後でPMSの症状が変わった=精神的な症状が出るようになったと感じる女性も多くいます。

PMSの改善方法

PMSの改善方法はいくつかあります。

  • 生活習慣の改善
  • 低用量ピルの服用
  • 漢方薬  など

 

PMSは生活習慣を見直すことで症状が緩和されることがあります。例えばしっかりと睡眠をとる、適度に運動をする、規則正しい生活を送る、お酒・タバコを控えるなどです。 低用量ピルは女性ホルモン(黄体ホルモン)の分泌を抑える働きがあり、PMSの症状を緩和させます。PMS以外にも低用量ピルは月経困難症や月経不順、避妊などへの効果も期待できます。

漢方薬は主に当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、加味逍遥散がPMSの改善に使用されます。症状に合わせた漢方薬を選ぶことが大切なので、漢方薬を使用したい方は医師や薬剤師へ相談してみましょう。

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まとめ

PMSに悩んでいる女性は多く、特に30代になると身体的な症状に加えて精神的な症状も起こるので、30代になってPMSがひどくなったと感じる女性はたくさんいます。さらに出産もPMSの症状に影響を与えます。

PMSの症状には個人差があり、ピークも人さまざまです。PMSは生活習慣の改善や低用量ピル、漢方薬などで症状を改善できます。PMSの症状がひどくなって我慢できないときは、無理をせずに婦人科へ相談するようにしましょう。

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