ホルモンバランスが乱れときの漢方薬の選び方｜PMSや更年期の症状改善

月経不順、PMS、そして閉経を迎える年代に始まる更年期症状、これらはホルモンのバランスの乱れから来るものだと考えられています。

ホルモンのバランスを整えるためにはストレスフリー、睡眠、十分な栄養など基本的な健康が大切だと考えられていますが、そこにプラスして漢方を取り入れることで不調が改善されることがありますのでご紹介していきます。

そして、どの漢方が自分の身体にあっているのか、自分の判断だけでは不安な場合は、病院や専門クリニック、またオンライン上での無料の問診などもあるのでご紹介します。

この記事でわかること

• ホルモンバランスとは
• ホルモンバランスが崩れることで現れる症状
• ホルモンバランスを整える漢方薬のご紹介

ホルモンバランスとは

そもそもホルモンバランスとはどのようなものなのでしょうか。ホルモンにも多くの種類がありますが、ここでは女性ホルモンと呼ばれる、妊娠や出産、そして健康的なライフスタイルを維持するために重要なホルモンです。

女性ホルモンは「エストロゲン」と「プロゲステロン」という2つの種類のホルモンがあります。この2つのホルモンが正常に働くと、女性の身体を妊娠可能な環境にし、一定の周期で月経が起こります。月経後すぐにエストロゲンが増加し、ピークを迎えるとそれをきっかけに排卵が起こります。

一方、プロゲステロンは、排卵後から月経前まで増えていき、妊娠に備えて受精卵が着床しやすい状態に子宮内膜を整えたりしています。そして、月経前には両ホルモンが減少していきます。

この周期はおよそ28日間で繰り返されますが、このエストロゲンとプロゲステロンの分泌量のバランスが、女性の心と身体の変化に影響します。

ホルモンバランスが乱れたときの症状

ホルモンバランスが乱れることでもっとも起きやすいのが、月経不順や不正出血など女性機能の不調です。女性ホルモンのバランスが乱れることで、無排卵、卵子が成長しないなど不妊の原因になるケースもあります。

また、女性ホルモンのバランスは自律神経にも影響します。自立神経が乱れることは、頭痛、便秘、肩こりなどの身体的な不調と、イライラ感、不安感などの精神的な不調を引き起こす要因となります。

10代～20代ではホルモンバランスが安定していないことからPMSを引き起こしたり、40代～50代ではホルモン分泌が減り、ゆらぎが大きくなることで更年期症状が現れてきます。 

ＰＭＳなどの症状【20代～40代】

ホルモンバランスの乱れも要因の一つとされるPMSは女性の約9割が一度は経験するとされます。10代から50歳前後まで多くの年代の女性がPMSに悩んでいますが、症状が起こりやすいのは20代後半から30代という報告が多いようです。

乳房の張り、腹痛、頭痛などの身体的な不調のPMSが出やすいのは20代、それらに加えて、イライラや憂鬱、怒りっぽくなるなどの精神的な不調のPMSが強く出る傾向があるのが30代と言われています。

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更年期による症状【45歳～50代】

女性ホルモンの1つであるエストロゲンの分泌量が急激に減ってくることで現れるいわゆる更年期症状もホルモンバランスの異常から起こると考えられています。

更年期症状の代表的なものとして、のぼせ、異常発汗、ホットフラッシュ、イライラ感、肩こり、疲れやすい、冷え、頭痛や腰痛などが挙げられます。

ホルモンバランスを改善する方法

女性ホルモンは、生活習慣の乱れや、仕事などからくるストレスなどで簡単に乱れてしまいます。

なるべくストレスをためないような生活を意識しながら、普段の食事や生活習慣を整えることでホルモンバランスを安定させたり、漢方などの体内環境を変えるものをいつもの生活にプラスすることで女性ホルモンを整える方法もありますのでご紹介します。

ホルモンバランスを安定させる漢方薬

漢方において、ホルモンバランスを整えるということは、単にホルモン分泌を正常にするというだけではなく、身体の内臓の機能や血のめぐり、また精神の状態や基本的な身体の体調などとも深い関連があると考えます。身体全体のバランスを正常な状態に戻し整えることでPMS症状や更年期症状などを改善していくという考えです。

漢方では、身体は、「気（き）」、「血（けつ）」、「水（すい）」の３つの柱で支えられていると考えられており、PMSや更年期の症状はこれら３本柱の崩れからきていると考えています。この3本柱のバランスを整えていくことで症状を解消していきます。代表的な漢方をいくつか紹介します。 

当帰芍薬散（トウキシャクヤクサン）

婦人科の三大漢方薬の一つで、血行障害やうっ血などを表す「血（けつ）」の不足を補い、身体全体の血液の巡りをよくして、体を温める作用があります。主に疲れやすく、下半身の冷え、貧血傾向で少しむくみ気味、めまい、頭痛、肩こりのある人に用いられます。 1）

桂枝茯苓丸（ケイシブクリョウガン）

こちらも婦人科の三大漢方薬の一つで、主薬となる「桂皮（けいひ）」はシナモンでなじみのある植物由来の植物です。血の巡りを良くすることは、更年期に起こりやすいのぼせを取って頭をスッキリする効果があります。

茯苓には気分を落ち着かせる作用や身体の水の流れを促す作用があります。桂枝茯苓丸が合うタイプの方は、比較的体格が良く頑丈なタイプの人や、赤ら顔、のぼせ、発汗症状が強い人となります。1）

加味逍遙散（カミショウヨウサン）

こちらも婦人科の三大漢方薬の一つで、月経異常や更年期障害など女性特有の症状に効果が期待できます。「気」の流れを改善することで「血」と「水」の巡りを改善すると言われています。気持ちが落ち込んだり、イライラなど、精神的な不安感を持つ人に適しています。体力がなく、肩こりやめまい、頭痛のある人に用いられます。

桃核承気湯（トウカクジョウキトウ）

桃核承気湯体は、「気」と「血」の流れを良くして、月経前や月経中に起こりがちな痛みやのぼせなどの症状を緩和します。月経前の便秘や下腹部痛などのPMS症状に用いられます。

比較的体力があるタイプ向けとされ、便秘がちな方の頭痛、肩こり、また、月経不順からくる精神的不調にも用いられます。

芍薬甘草湯（シャクヤクカンゾウトウ）

PMS症状の一つである腹痛に効くとされている漢方です。芍薬と甘草という2種類の薬草のみが成分となっています。芍薬は筋肉の痙攣を鎮める鎮痙作用、甘草は筋肉の痙攣性疼痛を止める作用を持っていますので、子宮筋肉の収縮から起こる月経痛やＰＭＳ症状を改善します。

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まとめ

初潮を迎える10代から50代を過ぎるまで、生涯を通して付き合っていく女性ホルモン。ストレスをなるべくためないように意識し、健康的な生活を送ることが女性ホルモンを整えることにつながります。また、漢方のように普段の生活にプラスするだけでホルモンバランスが自然に整うこともあります。漢方は、自分にあったものを長く続けていくことが大切です。自分にあった漢方を正しく選ぶためにも漢方の専門家に相談してみましょう。

参考文献

1) 寺内公一.更年期女性への漢方診療の実際. 2018 https://mp.medicalonline.jp/products/article_list.php?magazine_code=al1wohef&year=2018&volume=5&number=2